心電図の読み方を理解したい医学生に、心電図に特化した一冊。日本医師会の出版。

ひたすら延々と心電図が掲載され、その読解と解説が続く。第1部が心電図の基礎知識、第2部が波形(つまり拍動の形)の異常、第3部が脈(つまり拍動のリズム)の異常、第4部がHolter心電図や運動負荷心電図などの特殊な心電図、という構成になっている。また第2部と第3部はそれぞれが前半は「特徴的な波形(脈拍)が何を表すか」を解説し、後半は「代表的な疾患でどのような波形(脈拍)が見られるか」を解説している。

図や鑑別フローチャートが多用されているので視覚的に概念をとらえたいという人には適している一方、図を重視するあまりに解説文はやや少なめ。あくまで「読む」ものではなく「見る」ものとして扱うほうが良いように思える。しかもこの本の致命的な弱点は、「この疾患ではこんな心電図が見られる」と書かれていても「なぜその波形が出るのか」という電気生理学的な解説は一切無いこと。従って、強靱な暗記力を持っている人以外にとってはこの本で心電図をマスターするのは至難の業なのではないかという気がする。

ステップ内科のように通読しようとすると必ず眠くなるので、読み通すものではなく心電図アトラス、図表集的な使い方をオススメする。あくまで資料集と割り切って買う。心電図を読めるようになりたいならば持っていても損はないし、逆に言うと心電図にそこまで思い入れがない(?)学生ならばこの本を買ってまで心電図に力を注ぐ必要もない?心電図を読めるようになりたいというモチベーションを以てして読むなら、この本は心電図学習の第一選択となる良書。

胸部写真のABCとは姉妹書関係にある。

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最終更新:2017-09-10 (日) 12:23:10 (11d)