ハーバード大学テキストシリーズを代表する本で、循環器科の教科書としては本格派の一冊。和製内科成書に負けない記述量で、視点も病態の理解を第一としている点では非常に貴重な一冊。国産書籍ではあまり見ないタイプである。国試合格のみを目指すならやや過剰であるが、内科医・循環器科医としても通用するレベルの内容であることは間違いなく、ステップ内科5循環器の解説が「ごまかしの匂い」がするので好きになれない、という人にとっては重宝するだろう。

情報量は非常に多い。とくに、心不全とは何か、不整脈とは何かという総論的な視点に立った病態解説が貴重。ただし本質的な理解を求める弊害か、迂遠な感じがするのは否めないので手っ取り早く大学の試験や国試に通ることを目指すのであればこの教科書は不適切である。誤解を恐れずに言うなら、ステップ内科5循環器と本書の関係は、生理学でいう生理学テキスト(あるいはシンプル生理学)と標準生理学(あるいはガイトン臨床生理学)の関係に似ている。つまり、好きな人には最高の一冊であるが決して万人受けするものではないということだ。高い志をもって接すれば大いに勉強になる。大学教官への印象も良いようで、本書を推薦する教官は少なくない。

無難な使い方としては、(経済的な事情などが許せば)まずは万人向けで大学の試験にも国試にも対応できるステップ内科5循環器などを買ってみて、あるいは国試で点を取るためのキーワード学習としてイヤーノートをメインに据えつつ、解らないことを調べるための「プラスアルファ」的な傍用教科書として本書を買うのが良いのではないだろうか。書店で実物を手にとって決めてみるのも良いと思われる。


最終更新:2012-08-19 (日) 08:32:45 (1800d)

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