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デヴィータがんの分子生物学

メディカルサイエンスインターナショナルが発行する最新がん研究を俯瞰するスタンダードテキスト。原著は、Vincent T Devitaによる Primer of the molecular biology of cancerであり、これは
腫瘍学成書であるCancer: Principles and practice of oncologyから特に分子生物学・分子遺伝学に関する内容を抽出し、使いやすいようにコンパクトにまとめたものである。

中身は非常にカラフルで親しみやすさを持ちながら、がんゲノムやエピジェネティクス、細胞周期、シグナル伝達、増殖因子、血管新生からがん幹細胞研究に至るまで、幅広い話題を取り上げている。また各論の分野では、19種類のがん領域においてそれぞれの分子生物学的性質、遺伝学的特徴や主な遺伝子変異、シグナル伝達の異常などに関してを挙げて解説している。

2012年9月に発行されたばかりで非常に新しい教科書だから、2008年に発行されてその後の改訂がないワインバーグがんの生物学などより遺伝子研究分野においては新しい情報も多い。一方でページ数に関しては500ページとそれほど多いわけではなく、やはり内容の詳しさでは800ページを超えるワインバーグのほうに軍配が上がる。翻訳の質に関してはデヴィータワインバーグも共に非常にこなれた良い翻訳をされており、両方とも読みやすい日本語になっているので大きな差は感じられない。成書ワインバーグ、入門書のペコリーノ、新しい情報のデヴィータ、といえるだろうか。がんの生物学の教科書としてはペコリーノワインバーグデヴィータよりは若干レベルと知名度と人気が落ちるかもしれない。これは翻訳の差というよりは原著の差だろう。

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タグ:腫瘍学


最終更新:2017-09-10 (日) 12:23:13 (11d)