大きく、前半の循環器総論と後半の各論に分かれる二部構成。

総論は心臓の拍動のしくみや心電図の読み方など基本的なところから背景理論まで含めて解説されていて、「暗記より理解」を重視する学生には非常によい。さすがに心電図などの記載量では心電図を学ぶ人のためになどの心電図専門の教科書にはかなわないが、循環器の講義をサボったばかりに理論的な面での理解が少なくて困っている人はステップ内科5循環器の総論編は読破すると良い。

第2版(2006年10月より販売開始)

2006年10月に第2版に改定された。

他のステップ内科シリーズが改定されたときと同様にステップ内科5でもページ数が増えて情報量の充実が図られている。また疾患によっては第1版と比べて記載内容が大きく改められている。たとえば第1版ではやや内容が不足している感じのあったBrugada syn.について言えば、第1版では心電図で右脚ブロックとST上昇が見られるという“文章での説明”や40歳以上で特発性心室細動を起こして突然死の原因となることなどは記載されていたが、典型的な心電図のイラストは掲載されておらずBrugada syn.自体で1/2ページ程度しか割かれていなかったものが、第2版では疾患予後の相関は右脚ブロックではなくST上昇にあることが追記され、Brugada syn.の特徴とされる弓形心電図が新たに掲載されるなど、疾患のページ数も増やされている。

また第1版で不人気だった僧帽弁狭窄症、大動脈弁狭窄症などの聴診所見の説明(「扉の立て付けが悪いからばたんと閉まる」などの記述)は第2版では一部残されているものの、M弁は心筋収縮力によって弁が閉鎖されるのに対してA弁では左室と大動脈内での圧較差によって弁が閉鎖されるというよな弁の挙動が異なることなどについての正攻法的な説明も加えられており、いくぶん“マシになった”という印象を受ける。依然としてこの説明ですんなり納得しにくいと感じる人はいるかもしれないが、第1版で酷評されていた部分はずいぶんと改善されていることは間違いなさそうだ。


第1版(2006年9月で販売終了)

各論は狭心症・心筋梗塞・先天性循環異常などのテーマ別に記載されていて、他のステップ内科と同じ雰囲気。読みやすいことは確かである。図は少ないが、苦にするほどでもない。ただし機序の説明でややわかりにくいところもあり、特に聴診の章の「?音?音の異常についての解説」は意味不明だとか間違っているという批判が2ch教科書スレでも噴出した。確かに読んでみて納得しづらいこじつけによって解説をすませてしまっているところがあって、ステップが教官や臨床医にあまり良い印象を与えないのはこのステップ内科5のせいではないかという気がしなくもない。個人的には、「心筋梗塞で異常Q波が生じる理由」のところがコジツケ感があると感じた(もっとも、異常Q波についてその出現機序まで詳しく書いた内科書はなかなか無いが)。

ステップ内科は読みやすさを重視した教科書とは言え決して薄い本ではないので、循環器の試験までに通読しようと思うとそれなりに前から取り組む必要がある。まぁ、医学部に入ってしまった以上は循環器を専門とする予定が全くなかったとしてもこの科目くらいはしっかり勉強したいかも。というわけで、このステップ内科5循環器は通読もOKかと。



最終更新:2017-09-10 (日) 12:23:13 (73d)