http://www.jbct.jp/

制度・認定医資格について

日本がん治療認定医機構が認定する認定医制度の一つ。がん診療における専門医の制度をつくろうという構想は以前からあったが、日本癌治療学会と日本臨床腫瘍学会の間で意見の相違が埋められず、結局現在はがん治療認定医は妥協の立ち位置にある。制度自体も当初の構想のように診療報酬でも差をつけようとした声は反映されず、やや中途半端な状態になっている。

がん治療に関する専門医制度は、外科医が中心といわれる日本癌治療学会と、内科医が中心と言われる日本臨床腫瘍学会がそれぞれ別々に制定しようとしていたことから、患者団体を中心に制度の一本化を求める要望が出されていた。そのため「がん治療専門医をめぐっての提言(2005年6月30日)」が日本医学会より提示され、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会に基礎系の日本癌学会を加えた3学会共同による「がん治療認定医制度」を設ける事で合意がなされた。しかしその一方で、日本臨床腫瘍学会が独自の専門医制度である「がん薬物療法専門医」の認定を始めるなど独自の動きも見せており、足並みが揃っていないのが現状である。その背景には、欧米のオンコロジストのようながん薬物療法に特化したスペシャリストの育成を目指す日本臨床腫瘍学会と、日本では外科医が抗がん剤治療を担ってきた現状にあわせて更に臨床腫瘍学の知識を取得した医師の育成を目指す日本癌治療学会との意見の相違が大きく影響している。(Wikipediaより)

ただし、2011年11月までに第6回までの試験が開催され、毎年2000人以上が受験する大型の認定医制度であり認定医の数も今後増えてゆく見込みである。今後、がん治療認定医制度がどのような推移をたどるのかは、現時点では未知数である。


試験対策について

がん全体から広くうすく出題されることもあり一分野に特化した勉強よりもがん診療・治療の全体に関して俯瞰的な知識が要求される。また学会参加や論文発表も要求される(共同演者・共著者で可)。

対策書籍としては下記のようなものを使用している人がおおい。医学評論社の再現予想問題集以外は、試験対策本というよりがん診療広く一般における教科書・参考書である。

試験自体は決して難易度が高いわけではないが日常臨床を行いながら受験するわけであって十分に試験対策時間を確保することも難しく、これらの書籍を有効活用することが認定への近道でもあるようだ。


がん治療認定医教育セミナー・認定医試験受験者の声

2011年11月の受験者より、許可を得て転載しています。

がん治療認定医教育セミナーと認定医試験が終わりました。2日間に渡って2000人以上のがん診療に携わる医者がほぼ缶詰でがんの集中講義を受け、そのあと引き続き試験を受けます。以前には東京ビッグサイトで開催したこともあるようですが、今年の会場は昨年と同じ幕張メッセ。初日は隣のホールでAKB48の大握手会も開催されていたみたいでファンでいっぱいでした。

セミナー

セミナーは各分野において日本を代表する医療機関や大学教授が講師になり一領域あたり15分から25分程度で概説します。

  1. 第一日(9:00-17:45)
    1. がんの生物学、分子生物学
    2. 腫瘍免疫学
    3. がんの疫学、がん検診
    4. 臨床研究と統計学
    5. 病理学
    6. 画像診断、オンコロジカルイメージング
    7. 腫瘍外科学概論
    8. 化学療法概論
    9. 分子標的療法概論
    10. 放射線療法概論
    11. 緩和医療概論
    12. 精神腫瘍学、サイコオンコロジー
    13. がん救急
    14. がん治療と倫理
    15. 脳腫瘍
    16. 頭頸部がん
    17. 食道がん
    18. がん
    19. 胆道がん、膵がん
    20. がん
  2. 第二日(9:00-12:10)
    1. 大腸がん
    2. がん
    3. がん
    4. 白血病
    5. 骨軟部腫瘍
    6. 泌尿器科腫瘍
    7. 皮膚がん
    8. 小児がん
    9. 婦人科がん
    10. 悪性リンパ腫、多発性骨髄腫
  3. 認定医試験(13:30- 試験時間90分)

といってもがん診療はどの分野も今は高度に発展していますから15分で説明するのはかなり無理があり、どのセッションも非常に駆け足、早口ですので、自分が既にある程度理解していたり日常診療で予備知識を得ていない限りは講義中にテキストを追って行くのは難しいでしょう。ある程度の予習はして行った方がいいですね。幸いテキストは1ヶ月ほど前には郵送されますし、重要事項には下線があります。

認定医試験試験や資格は別としても、各領域のがん治療がどうなっているかをコンパクトにまとめているので知識のアップデートには役に立ちます。がんの生物学に関しては大学院試験のために勉強していたことがかなり役に立ったのですが、このセミナーで新たに教えてもらえたことも結構あります。はずかしながら、メラノーマの治療に今後有力な治療薬となるCTLA4阻害として働くipilimumabはがん免疫療法の応用実践なのだとか、術中迅速診断に使われる凍結標本の特徴だとか、分子標的薬の小分子化合物と大分子化合物がどう違うか(例えば同じEGFRの経路に働くのにチロシンキナーゼであるgefitinibと抗体薬であるcetuximabの違い)、初めて知ったことは少なくありませんでした。

セミナーはすべて指定席で広い体育館のような場所に並んだスクリーンをみんなで見ます。頻繁に在籍確認の担当者が回ってきて、15分以上不在だと黄色い違反切符のような紙を置いてゆきます。受講することが認定試験の受験に必要な条件になりますので、この二日間はみっちり缶詰にされます。遅刻早退も受講票のバーコードでかなり厳格にチェックされます。

昼食は午前中の休憩時間と昼休みに弁当屋が会場前まできて幕の内弁当を販売していましたが、かなり混んでいました。私は朝のうちにコンビニでパンなどを買って行きました。飲み物は自動販売機があります。トイレも大変な混雑で(特に受講者が大半は男なので男性トイレが混雑する)、会場前に仮設トイレも設置されていました。

認定試験

試験はマークシート方式で60問、90分。すべて5択問題で、国試でのいわゆるX2タイプはありません。長文問題もなく、一問一答形式です。今回の第6回は総論が31問で各論が29問でした。概ね一分野あたり2問ですが、化学療法概論のような大きなジャンルは3問あったり医療統計などは1問だったりします。各論も脳腫瘍が1問でしたが、あとはどれも2問ずつです。肺がんや大腸がんなどのメジャー領域と、頭頸部や皮膚がんが同じ問題数というのは、若干違和感を感じます。

試験問題はほとんどがテキストの記載内容から出ているほか、セミナーで講師が強調した部分が出題されていることが多いようです。あくまで基本的な内容を問われるので試験の難易度は決して高くはありません。普段からがん診療をしていて、ちょっと予習して講義もしっかり聞けば、8割はおろか9割も取れそうです。この難易度であれば満点をとった人もいるのではないでしょうか。ちなみに、合否ラインは第5回は42点(70%)だったようです。

試験対策をするのであれば、まずはザッとセミナーテキストの下線部分を読み、また消化器・肺・乳・白血病など主要な癌腫の標準治療を1st-lineだけでもよいので勉強して、代表的な分子標的薬のターゲット分子や特徴的な副作用くらいは覚えましょう。さらに役立つのは、医学評論社から出ている再現・予想問題集(がん治療認定医試験対策サマリー&再現予想問題)で、この問題集には重要問題に印(再現、第五回、など)が付いているので、印が付いた問題だけでもやって見ることです。印が付いた問題を駆け足でやるだけなら、集中して2〜3時間もやれば済みます。ただ、いくつか解答が怪しい部分もあるのでおかしいと思ったらセミナーテキストで確認しましょう。

このがん治療認定医資格が持ってて何の役に立つのかは、正直よくわかりません。一時は認定医ががん診療をすると特別加算がつくようにしようという意見もあったみたいですが、いまでは臨床腫瘍学会のがん薬物療法専門医資格との棲み分けも微妙です。この認定医機構と臨床腫瘍学会の関係も穏やかではない歴史があるようで、この資格を取ることのメリットは今のところは何とも言えません。ただ、セミナーを受けて勉強をすればがん全体に対する理解が深まることは確実に言えそうです。考えてみればほかの認定医試験も存在意義なんて怪しいもので、さらには漢字検定やTOEICだって受けて合格証をもらって、半分は自己満足なのですが、それで皆さん合格を喜んで満足し、周囲の人もちょっとその資格を持っていることを評価してくれたり褒めてくれたりする。今のところはその程度の意味しかありませんが、この認定制度のコンセプト自体は確かに理解できますし、それでいいんじゃないかと思います。

来年、この資格に興味を持ってくれた人に、このページが少しでもお役に立てればと思います。ご健闘、ご活躍をお祈りします。

コメント

薬物療法専門医とがん治療認定医の位置付けですが、前者がより上位資格であることになっています。しかし認定医機構という「天下り」的組織の資格であること、また薬物療法専門医が欧米並のオンコロジーサブスペシャリティを目指したため、結果的に外科系はおろか内科系にも容易に手出しできない資格になったのは事実です。まあ認定医は内科認定医のように、「がんやってます」と名乗るためのミニマムとしての扱われ方をしていくのではないでしょうか。 -- az 2012-10-25 (木) 15:34:09



最終更新:2017-09-10 (日) 12:23:15 (93d)